イギリスの伝統菓子を作る(上)

QUEEN’S JET(クイーンズジェット)が長い夏休みに入る前からずっと試作を続けていたお菓子があります。
それはFUDGE(ファッジ)と呼ばれるイギリスの伝統菓子です。
「世界一甘いお菓子」と呼ばれることもあるファッジの材料はバターと砂糖。
見た目や材料はキャラメルに近いようにも思えますが、砂糖の再結晶を促しどちらかと言えばサクサクとした独特の食感があります。
この食感がクセになる一つのポイントです。

QUEEN’S JETでは少しアレンジをし練乳や生クリーム、チョコレートも加えていますので、ジャンル的にはチョコレートファッジの部類に入ります。
そして忘れてはいけない材料の一つがこちら

何かのカップデザートにも見えますが、こちらはクロテッドクリーム。
スコーンにジャムと一緒につけて食べるクリームと言えば思い当たる方もいらっしゃるのでは?
主にサウスウェストイングランドの農場で伝統的に作られていたクリームだそうです。

イメージとしては生クリームとバターの中間にあたるクリーム。
乳脂肪分は約60%、当店で主に使用している生クリームが乳脂肪分35%ですからその濃厚さがわかると思います。
このクロテッドクリームを入れることで異次元のコクがファッジに加わります。
当店ではタカナシ乳業さんのクロテッドクリームを使用。

材料を全て鍋に入れて火にかけます。
当店のファッジはミルクチョコレートを加えているので、ちょっと茶色に濁っています。

グツグツと沸騰してきました!
グングン温度が上がって行きます。

温度計で温度を計ってみましょう。

「104度」を少し超えたくらいですね。
まだまだです。
さらに加熱。

約116度くらいを目処に混ぜながら加熱を続けます。
この温度に達することで、このドロドロに溶けた生地が固まる時に砂糖の再結晶を起こします。
砂糖が再結晶することでサクサクとした食感を形成します。
キャラメルのような歯にくっつくような粘りはなく、ちょうど固まった黒砂糖に近い食感が生まれます。

良い温度になったので、火から外しファッジの生地をバットに流し入れます。
さあ、ここからゆっくりと冷やして再結晶を進めていきます。

通常であれば固まったファッジの生地をカットして終わりなのですが、QUEEN’S JETはチョコレートテイラーです。
伝統的なファッジをチョコレート菓子に生まれ変わらせます。

ここからは「イギリスの伝統菓子を作る(中)」でご説明していきます。